12-3. ハイブリダイゼーションによる核酸の検出法
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1) サザンブロッティング
原理(RIプローブを使う場合)
サザン(E. Southern)が開発したフィルターハイブリダイゼーション法
制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動したDNAをメンブランフィルターに写し、プローブとハイブリダイズさせ、オートラジオグラフィーで検出する
ねらった配列があればそれを含む制限酵素断片のバンドがフィルム上で見える
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memo: ブロッティングとメンブランフィルター
ゲル中の物質を親水性の多孔質フィルター(メンブランフィルター)に染み込ませた後、適当な試薬で検出する方法をブロッティングという(blot: 染み込ませる)
操作の概要(マウスがヒトの遺伝子Aに相当するDNA配列をもつかどうかを検討する実験の場合)
1) マウス組織からゲノムDNAを抽出し、制限酵素で消化する
ゲノムDNAはどの組織から抽出してもよい
2) アガロースゲル電気泳動する
3) ゲルをアルカリ処理してDNAを変性させ、メンブランフィルターを重ね、ゲル中のDNAをメンブランフィルターに移し、固定化する
メンブランフィルターとして陽電荷をもったナイロン製の丈夫なものなどがつかわれる
DNAの転写には濾紙を重ねて水分を吸い取るキャピラリーブロッティングと、電気的に行うエレクトロブロッティングがある
DNAは紫外線や熱でフィルターに固定化する
4) ヒト遺伝子AのmRNAから合成したDNAをもとにリン32標識プローブをつくり、変性させておく
5) フィルターをプローブ入りハイブリダイゼーション溶液に浸け、65~70℃で数時間〜一晩保温する. 場合によってはホルムアミドを加えて温度を下げる
ハイブリダイゼーション溶液は4×SSC(SSC=0.15 M NaCl + 15 mM クエン酸Na (pH 7.0))を基本に、非特異的吸着を防ぐデンハルト溶液、SDS、サケ精巣DNAを添加する
温度は使う塩濃度(SSC濃度)とホルムアミド濃度で調製する
ハイブリダイゼーションは条件を少し甘めにして行い、その後SSC濃度を少しずつ下げ、洗浄条件を徐々にきつめにしながら洗浄する(→正しくアニールしているもののみを残す)
6) フィルターを洗浄後、X線フィルムに重ねてオートラジオグラフィーし、現れたバンドを検出する
ゲノム遺伝子は複数のイントロンを含み、遺伝子内部の酵素認識部位も通常複数あるので、バンドは複数出現する
2) ノーザンブロッティング
原理
サザンブロッティングに似たRNAの検出法
電気泳動したRNAをメンブランフィルターに転写し、DNAプローブで解析する
遺伝子発現解析やRNA構造の推定に用いられる
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操作の概要とポイント
1) 細胞や組織から分解に注意してRNAを抽出し、変性条件(e.g. 2%のホルムアルデヒドを添加)でアガロースゲル電気泳動する
2) サザンブロッティングに準じ、メンブランフィルターへの転写、ハイブリダイゼーション、オートラジオグラフィーする. すでに一本鎖になっており、またRNAがアルカリにより分解されてしまうためアルカリ変性は行わない. $ T_mの計算はDNAハイブリッドとは異なる
結果の判断
RNAはサイズが反映されるように変性条件で電気泳動する
バンドが複数見える場合、転写開始部位やスプライシング様式が複数存在する可能性がある
3) in situハイブリダイゼーションとFISH
ハイブリダイゼーションを、当該核酸が"もともとあったその場所"(in situ)で行うことをin situハイブリダイゼーションといい、細胞や組織といったミクロ環境や、器官や個体といったマクロ環境で、遺伝子やその発現を検出するために用いる
ミクロ解析では顕微鏡的な解析を行うため、蛍光顕微鏡で検出できるよう、蛍光試薬をプローブに使ったfluorescence in situ hybridization(FISH)という手法が用いられる
遺伝子のある染色体の場所(遺伝子座)を明らかにする目的でも利用される
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